読書記録

読んだ本の感想まとめ。

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

フィクションだけどフィクションじゃない。多分想い人が特攻隊に志願して分かたれた女性は現実に当時たくさんいたと思う。

恋愛小説だと期待して読むと痛い目に遭う。戦争小説だよこれは。恋愛としての糖度はほとんどない。にもかかわらず、2人の関係性の変遷に非の打ち所がない。
出撃命令が出たあたりから、「デッドエンドって分かってるから、もう彰が百合の時代に記憶を保持したまま転生して出会う未来を妄想するしか救いがない」と思っていた。そうしたらほぼその通りのラストになった。『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』が続編の現代編のようなので、この感想を書き終えたらすぐに読み始めるつもり。同一の魂を持った別人格が同じ世界線の同じ時代の同じ国に生まれ、同じ学校で生きる。70年越しに届いた恋文も。あまりにも尊い

特攻隊とか学徒動員とか軍需産業とか、昔歴史の教科書で見た単語がゴロゴロしてて太平洋戦争の学び直しみたいになってる。

主人公が特攻を自殺と表現した気持ちが分かるような気がする。伴侶が特攻隊に志願したことを誇りに思う妻の気持ちは分からない。戦況が悪くて、そうでもしないと勝ち筋が見えないって分かってるなら、自分が散った後国が勝利を手にするってどうして思えるんだろう。

板倉さんと許婚さんの物語も読みたいのだが、どうすれば読めます?