読書記録

読んだ本の感想まとめ。

SINGLE TASK 一点集中術

人よりワーキングメモリの性能が低いのか、マルチタスクがクソ苦手なので手に取った本。

著者が言うところの「タスク・スイッチング」が恐ろしく下手な私だが、それは別に人間として恥じるべきことではないと分かった。むしろ過集中の傾向があるほど集中力が突出している自分は、シングルタスクが得意になれるポテンシャルを秘めているのでは? などと自画自賛してしまった。

各章の終わりに重要なことがまとめられているので、脳内の整理に非常に役に立つ。

各章の冒頭にある神話と現実の対比が面白い。

第1章 マルチタスクを封印する

冒頭からマルチタスクの理論どころか存在そのものを否定していて衝撃的。本書では、意識的にする行動&意識的にする行動に焦点を当ててマルチタスクと呼んでいる。
マルチタスク=タスク・スイッチングという見解には納得。ずっと違和感はあったけど、上手く言語化できてなかったんだ。

第2章 すべてを一気にシンプルにする

シングルタスク度自己評価表のスコアは54だった。シングルタスカーとマルチタスカーのほぼ中間にいる。キョロ充か。

第3章 脳の「集中力」を最大化する

現在スマホで済んでいる機能をあえてアナログに分離するのは、かなりハードルが高い。当然金がかかるし、筆圧が高いとか書くのが遅いという理由で手書きを不得手とする人間はどうすれば……。

「電話やメール受信など、音が鳴りうるものはすべてミュートにする」これも一般のビジネスパーソンには、特に電話は無理じゃないか。
不意に鳴る電話への対応はしないわけにはいかない。経営者・管理職クラスの人間なら秘書にぶん投げることが可能なのかもしれないが。

メールは、緊急性がない業務がほとんどな職種なら、午前と午後それぞれ一度だけメールチェックの時間を設ける、というやり方はできるのかもしれない。
スマホのおやすみモードをオンにする」のは使えると思った。

第4章 全行動を「1つずつ」にする

無策の午前パターンが昔の自分すぎて泣いた。突発的に入ってくるタスク、把握しなければならない大量のメール、おそろしく長くなった「することリスト」、いつも忙しいはずなのに何故か何もできていないという徒労感……。
1×10×1システムや空白タイムなど、実際にやってみたいと思える案が多くて、とても有益な章だった。

第5章 5分で周囲の「信頼」をつかむ

自分は口頭会話のとき、人の話を聞いてはいても聴いてはいなかったと反省した。さすがにメモを取る以外の別の用事を済ませようとしたことはないと思うけど、視線が目、もしくはその周囲から外れやすい。第三者に指摘されたことがある。この癖に自分自身ほとほとうんざりしている。どうやったら視線を固定できるようになるんだろう。そして視線が外れやすい原因は何? トラウマでもあるの? カウンセリングルームを予約して、真剣に向き合うべきかもしれない。

第6章 賢者の時間術「タイムシフト

優先順位の付け方と時間管理術については、別途詳しい書籍を読んで勉強したい。

映画や本のストーリー、絵画などの芸術に没頭していると、あなたの脳はそのことだけに集中する。すると自然にシングルタスクをしている状態になる。(中略)それはまるで、脳が贅沢なシャワーを浴びたようなものだ。

映画鑑賞や読書から我に返った時のあの快感はこういうことだったのか! これからも続けようという自信が持てた。

第7章 継続する方法――24時間「いまここ」にいつづける

オフの時間の「シングルタスク度」自己評価表のスコアは9だった。おみごと!と褒められた。いや、私は単に一人暮らしで家族との会話がないだけ……。

食事しながらTwitterのTLを追いかけたりニュース記事を読む「ながら食べ」、よくないと分かっちゃいるけど、食事だけに集中しても味がよく分からないんだよね。不味くないか不味いか、という二つの判断しかできない。味覚がぶっ壊れてる。

付録 シングルタスクのメリット、マルチタスクのデメリット

もしシングルタスクがとてつもなく得意で、時間の流れをすっかり忘れてしまう危険がある人は、あらかじめ制限時間を決め、アラームを設定しておけばいい。

自分のことすぎて笑った。

著者は一点集中術の先駆者だからこそ、愛すべきマルチタスカーへの説得を試みているのだろうけど、読者に周囲のマルチタスカーの習慣を変えさせる義務はないと思う。自分の子供や伴侶ならまだしも、職場の同僚や友人の人生を軌道修正させる義務などない。