読書記録

読んだ本の感想まとめ。

ユートピア

ユートピア (集英社文庫)

ユートピア (集英社文庫)

終始ドタバタと喚いていた大人より、少女二人の方が一枚も二枚も上手だった。彩也子ちゃんの最後の作文で、物語への印象が180度変わる。子供は大人が思っている以上に物事を達観しているし、大人が思っているほど無垢ではない。

登場人物の中で嫌いな人間を一人挙げるなら、まあ修一だな。久美香ちゃんが成人したあと、離婚届を突きつけられてほしい。さっさと離婚されて養育費を請求されないだけ幸せ者でしょ。

久美香ちゃんの歩行困難が心因性のものだと知ったすみれと光稀が、何故腹を立てたのか分からず不気味だった。身体的な障害なら可哀想だけど、心因性の障害なら可哀想じゃないとでも言いたいのか。でも実際、心因性の障害を軽視する声が世間に根強くいるのは確かか……。

久美香ちゃんいじめがえげつない。陰湿な嫌がらせをするようになるのは高学年に入ってからというイメージがあったけど、そんなことはないのかもしれないな。女の子は、いい意味でも悪い意味でもリトル・レディだ。