読書記録

読んだ本の感想まとめ。

ある日突然、慢性疲労症候群になりました。

最初に言っておく、重度のうつ病で今自己肯定感が消失しそうな人は読まない方がいい。多分「こんなとんでもない病気で苦しんでいる人もいるのに、私は腑抜けだ、屑だ」という思考が始まって症状が悪化するリスクがある。回復期にいる自分でも結構メンタルに来てる。娯楽のつもりで手に取った本なのに刺激がとんでもない。

この本の印税で、少しでも金銭的負担が軽くなることを願ってやみません。

私も種類は違えど障害者なので、「頑張って生きてほしい」とは言わない。言えない。でも著者の方が生きたいと思えているうちは、生きていてほしいと思う。

普通のコマ割り漫画+4コマ漫画+専門家の解説という構成。

漫画だけどさらっとは読めない。絵柄はほんわかなのに内容激重。でも例えば動物化もデフォルメもされていない普通の人間の漫画だったら、4コマとかエグすぎて読了できないと思う。

初めて知る病名。うつ病は精神や脳が焼き切れたあとに身体症状が現れる感じだけど、心はやる気に溢れてるのに体が言うことをきかないってのも地獄だな。

うつ病は20世紀はおそらく脳の病気とは認識されていなくて、患者さんは不遇の扱いを受けてきたと思うけど、ここ10年くらいで専門書から体験記までうつ病について書かれた本がとても増えたから、精神障害の中では比較的受け入れられるようになった疾患だと思う。

でもこの本のテーマの「慢性疲労症候群」は、理解どころかほとんど認知されていない。そこがうつ病より待遇が悪いというか、まだスタート地点にすら立てていない感がある。この病気の認知と理解が、10年後には人類の過半数を超えていてほしいと夢想してしまう。そして10年後には、治療法や治療薬が確立されていてほしい。

読んでいると仕事どころか安静にしていることすら辛くて、あらゆる感覚が過敏になって、睡眠も正常に取れなくて、周りからは甘えって冷笑されるのに、どうして人生に絶望せずにいられるんだろう。どうして「どうやって生きていけばいいのか」という思考を保てるんだろうって、うつ病患者からすると思う。体も脳も精神も充電残り1%状態だろうに、まだ生きたい、やりたいこといっぱいあるって思えるのはどうしてなの。
→入院後の悪化の過程で希死念慮が出ていて、こんなことを言うのは侮辱かもしれないけど安心した。衰弱して生命の危機を迎えた時の思考を誰が責められるというのか。

叶うなら、(満充電が新品時の60%くらいになってしまったズタボロの体でも役に立つなら)この充電を全部差し上げたいくらいだ。意欲のない人間には活かせない体力だから、意欲が溢れた人に使ってもらいたい。

7話 診断…ついに

病名に関しては、確かに「慢性疲労症候群」より「慢性脳脊髄炎」の方が広まってほしい。私はうつ病患者として「疲労は万病の元」という意識があったからフィルターをかけずにこの本を手に取ったけど、発症前の自分なら十中八九興味を示さないという確信がある。

8話 思っていた反応と違う…

私…誰にも何も求めていないのに…存在してるだけで人をつらくさせるんだ…

泣いた。自己否定の極み。慢性脳脊髄炎ってうつ病と併発するものかどうか分からないけど、どうか自分の精神を加虐しないでほしい、どうか……(特大ブーメラン)

12話 カウントダウン

「いいな〜遊んでいられて。私も病気になりたい」「元気なら働かなきゃダメよ」とか言われるくらいなら、敬遠された方が全然マシ。人の悪意は刃物だが、善意ですら刃物になり得るって本当嫌。

病人は暗くて悲しい顔をしていないといけないのだろうか…
前向きだったり幸せだったりしたらそんなに鼻につくのだろうか…

適応障害発達障害を持つ人の前向きな姿を罵倒する人もいるよね。病気は未来で治療法や治療薬が見つかるかもしれないけど、人の価値観を変えることはおそらくどんなに文明が進んでも無理だろうから、もう……ままならないよねしか言えない……。

13話 救いを求めて

出たーーーーー障害者手帳障害年金。障害者本人か家族に当事者がいない限り、名称だけしか知らない制度。
障害年金の申請がクソ煩雑なの分かる。自分は手帳は取ったけど年金はハナから諦めた。あれ多分自力で申請すると、審査時に重箱の隅をつつかれて落とされるぞ。できれば申請に慣れている専門家(社労士とか)に依頼した方がいい。まあ依頼できる金銭的余裕がないから障害年金を申請したいわけで、矛盾してるんだけども……。

そうか、慢性脳脊髄炎が重度だと身体障害に該当するのか。車椅子が必要なくらいだもんそうだよね。身体障害って見た目で一目瞭然だったり検査結果に明確に出てくるイメージがあったけど、CFSの場合難しいようだ。うつ病も審査通るの難しいって言われてるけど、メンタルクリニックは都会にはかなり点在してるし、疾患自体の認知度は高いから、CFSの方が難易度としては遥か上を行きそう。

「経験と上達が反比例する」「新人だった頃より仕事ができなくなる」控えめに言って地獄。自己肯定感なんて砂になって消えそう。

15話 切なる声

そもそも最重度の方は病院にも役所にも行けないので申請することすらできないのです

対面or郵送申請の闇だと思った。オンライン対応すればちょっとは申請できない人を拾えると思うんだけど、行政のオンライン対応の下手クソっぷりはコロナの10万給付により証明されたばかりです(白目)

医者が病気の存在自体を否定したり、患者の訴えを信じないとは何事か。自分がすべての病気に精通しているとでも? 医者やめてほしい。

16話 生きてゆく

失ったものをなげくより… 失わなかったものを大切にして…

私に欠けている考え方。私は未だに、発症前の自分を思い返して「もし」と考えてしまうことがある。著者の方を見習わなければ。